正しいベタの飼い方

ベタの繁殖

手間はかかるが独自のベタを得られる利点もあります。

繁殖用ベタ

ベタを飼育していくと、一度は夢見るのがベタを繁殖させて増やし、さらに美しいベタを得る事では ないでしょうか。筆者も1度繁殖に挑戦し成功したのでその時の経験を書いていきます。

ただ、ベタの繁殖はメリットもあればデメリットもあります。メリットは文字通り増やせる事。そして デメリットも無視できないほどあります。それは、生まれてくるベタの雌雄を選べない事。オスもメスも 同じくらいの比率で生まれますし、環境次第で20~40匹は生まれるので、それをちゃんと管理できるか? です。

ベタが幼体のうちはオスもメスもまとめて同じ水槽で飼えますが、ある程度成長すると争いだしますので 分ける必要があります。メスは成長してもまとめて同じ水槽で飼えますが、オスは闘争心が強いので 増えてきたら1匹ずつビンに入れて飼うのが一般的です。

オスを入れたビンをまとめて大きい水槽に入れて、1つのヒーターで保温するのですが数が多いと大変 です。よほどベタが好きで世話好きでないと無理だと思いますので、ちゃんと世話が出来る自信のある方 だけがチャレンジするようにしてください。

品種によって繁殖習性が違う

ベタは他のページでも書いてありますが、バブルネスター(オスがクチで泡を作り、そこに卵を付けて 孵化させるタイプ)とマウスブリーダー(オスが卵をクチに入れて、孵化するまで守る)の2種類が います。一般に売られているベタはほとんどがバブルネスターで、繁殖させやすい部類に入ります。

逆にワイルドベタの大半はマウスブリーダーで、繁殖させるのはかなり難しいですし、数も多くは取れません。 極めて良好な環境でないと孵化は難しく、筆者もマウスブリーダーの繁殖は未経験です。

なので、このサイトでは一般的なバブルネスターのベタの繁殖方法を紹介していきます。

まずは良好な環境と個体選びを

ベタの泡巣
泡巣を作りだしたベタ

ベタを繁殖させるにあたり、最も色と形のよい、若いオスを入手します。既に飼育しているなら しっかりエサを与えてストレスのない環境で、繁殖に使う水槽は9Lくらいの容量がいいと思います。 小さい発泡スチロールや浮草など、水面に浮くものを投入してオスが泡で巣を作りやすい環境に しておきましょう。

そして相手となるベタのメスを購入しますが、なるべくオスに似た、ヒレに色が乗っており、成熟した メスを探しましょう。メスの体形が子に遺伝するので、各ヒレも形が良い個体を。ハーフムーン同士など オスと同じ形のヒレを持つメスが望ましいです。

また、お腹が大きいメスはその分、卵を多く抱えているので成功率も高くなると思います。そういった 個体を購入してください。

メスを購入後はしっかりエサを与えますが、エサの量はオスの2倍を目安にして、栄養をしっかり 取らせます。もちろんオスと同じエサで良く、エサを選ぶメスはまずいません。(食欲が凄いです) 繁殖時以外はオスの1,5倍を目安に与えましょう。

お見合いさせる

これはオスもメスも相手に慣れさせる為に必要です。見合いは不要、という方もいますが、オスの攻撃性 を低減させるために必要だと筆者は考えます。

繁殖用メスベタ
婚姻色が出たメス

オスのいる水槽のすぐそばにメスのいる水槽を置きます。またはオスの水槽にメスを入れたビンを置く 方法もあります。お互いに相手に気が付き、メスは婚姻色といって体が縞模様になります。これは 繁殖可能なことを表して、オスからの攻撃を防ぐ役割があります。(それでも攻撃されますが・・・)

お互いに相手が見えている、お見合い期間は3日~1週間くらいあれば相手に慣れます。オスの水槽には メスの逃げ場として水草や葉っぱなどを入れて隠れ場所がある方が望ましいですね。すぐに発泡スチロールなど の浮くものにオスが泡の巣を作りだしたら成功率は高いといえます。

泡の巣はオスが数時間で作れるものなので、巣が無くてもすぐに作り出すこともあります。とりあえず オスとメスを3日以上見える状態にすればお見合い完了です。

繁殖

いよいよメスをオス水槽に投入します。メスは何とか逃げようとしますが、水槽に入れます。 両者を鉢合わせるとオスが興奮してメスを攻撃します。可愛そうですがそのまま放置します。メスは 水草などに隠れますが、徐々にお互いに慣れてくるはずです。

その後は、産卵まで放置が望ましいですね。人間が近くでジッと観察しているとベタのオスが怒ります。 少し離れての観察なら大丈夫です。なおオスもメスも繁殖時はエサを与えないようにしましょう。 エサを与えると、卵を食べやすくなるので注意です。ベタは1週間エサ無しで生きられます。

交尾はオスがメスに巻き付いて産卵させますが、このタイミングがすぐなのか、1,2日後かはランダムです。 2日経っても産卵しないなら繁殖は失敗とみて、メスをオスの水槽から出してあげましょう。メスは オスによく噛まれるのでヒレもボロボロになっているはずです。ゆっくり治療してあげましょう。

ベタの産卵

ベタの交配

ベタの交尾は、オスがメスに巻き付くような感じです。シュッと巻き付きますが、成功も失敗も しますので気長に待ちましょう。

交尾に成功すると、メスの体から卵がポロポロと落ちます。ベタのオスが沈んだ卵をクチで拾って、泡の 巣に卵をくっつけて育てます。ベタのメスは卵を育てませんし、逆に食べようとします。再度産卵せずに 卵を食べるようならすぐにメスを水槽から取り出しましょう。

オスが卵を監視し、卵が沈んだらまた泡の巣に戻すのを繰り返します。巣がある水面は酸素濃度が高く、 卵が孵化するのに欠かせません。透明な卵は受精した有精卵、白い卵は無精卵ですが、これはオスが 自分で有精卵を判別するようなのでそのままにしておきましょう。

卵の孵化

ベタの赤ちゃん
孵化した稚魚が泡に付いているところ

ベタの卵は、産卵から約2日で孵化します。多少の個体差はありますが、約48時間で孵化するのを 覚えておきましょう。ベタの赤ちゃんには「ヨークサック」という栄養袋が付いており、これを消費して 成長しますが、ヨークサックが取れている子もいるので、インフゾリアを添加します。

インフゾリアとは、ゾウリムシなどのプランクトンの総称で、稚魚のエサ用としてAmazonなどで 売られています。もともと水槽内に多少いますが、ベタの稚魚に食べさせるために水槽に入れてあげると 良いエサになります。

なおベタの稚魚は非常に小さく、孵化してすぐはブラインシュリンプを食べられません。インフゾリア を入れると稚魚の生存率がかなり上がります。インフゾリア無しだと育つ稚魚はかなり減ると思います。

父親であるオスベタも、孵化から3日目位から稚魚を育てなくなるので、別の水槽に移してエサを あげましょう。 ここからは稚魚のみの水槽、という環境になります。

孵化から1週間程度すれば、稚魚も大きくなるのでブラインシュリンプを与えていきます。 1日に2~3回、食べ残さない量を与えましょう。ブラインシュリンプ も沸かすのに24時間かかるので、毎日沸かしますが仕事などで無理な場合はインフゾリアを入れておきましょう。

稚魚の成長

ブラインシュリンプを食べるようになれば、あとは稚魚がドンドン成長しますが、このブラインシュリンプ は水を汚すので、3日おきに水槽の1/10の量の水を換えましょう。これは水質を大きく変えないでなるべく 綺麗に保つためです。もっと多く換える方、1週間は変えない方もいますが、このくらいが無難かと 思います。

稚魚も2cmくらいにまで成長すると、小競り合いをしだすので、いよいよ分けていきます。 オスかメスかまだはっきりしないので1匹ずつ分けるのが無難です。遅くとも生後2ヶ月以内に 分けましょう。またオスは取り出してメスだけ残す方法もあります。

経験上この時点で、無事に成長してくれる個体は10~30匹くらいかと思います。より多く育てられたら 本当に天才です。

ベタの幼体

ベタの幼体

ベタの子供は、両親が同じ色だったとしても、様々な色の個体が出てきます。赤、青、緑など様々です。 そして本当に良いヒレ、良い色をもった個体は非常に少ない、珍しいのが現実です。

子どもの数が多いほど、飼育も大変になりますが頑張って育てましょう。ベタも3cmくらいになれば 市販の小粒エサや赤虫を食べられますので、ここからは大人のベタと同じ飼育方法になります。

ベタの繁殖まとめ

一度経験してみると分かりますが、ベタの繁殖はなかなか大変です。どうしてもメスが余りますし、 大型連休でもないと、付きっきりで繁殖させるのは難しいですよね。それでも一度やってみたい方は がんばってみてください。

なおベタには繁殖期はなく、生後半年もすれば繁殖可能です。水温も一定なので季節も関係ありません。 年中繁殖は可能ですが、作業しやすいのはやはりヒーターが不要な夏場がベストかなと思います。

また、オスとメスに相性はあるんじゃないかと思っています。一般には「相性はない」といわれていますが、 相性がある気がします。繁殖に失敗した場合は、メスを変えて再チャレンジしましょう。

なお必ずメスが余る傾向があるので、大きい水槽でまとめてしっかりと飼育してあげてください。 小さな命ですが、最後までしっかり面倒をみてあげましょう。