ベタの種類
ベタは大きく分けて「ショーベタ(改良品種)」と「野生種(ワイルド)」に分かれます。
「ショーベタ」は原種「ベタ・スプレンデンス」から派生した、最も多く流通している改良品種になります。 基本的にはトラディショナルベタ以外の改良品種を「ショーベタ」と総称します。以前ははコンテスト出品 クラスの美しい個体のみがショーベタと呼ばれていました。
トラディショナル・ベタ
最も値段が安くて、生命力、繁殖力も高く、飼い易い品種です。生産地のタイでも最も多く採れます。
初心者がベタを飼うのに一番適した品種といえます。尾ひれの形から別名「ベールテール」ともいわれます。
最近はやや値上がり傾向にあり、だいたい1匹800円くらいが相場でしょうか。色も原色系が多く、白やエメラルドグリーン系はもう少し高価になる傾向があります。
最も一般的なベタで、「トラベタ」「並ベタ」ともいわれ、どこの熱帯魚店でも見かける品種ですね。 入門用として最適なので、最初はこの品種の飼育から始めることをオススメします。最も流通量が多く、 ベタを扱うお店には必ずある品種です。
ダブルテール
画像のように、尾ひれが上下に分かれている品種。尾ひれが小さいぶん、泳ぎもやや速く、なおかつヒレ裂けもしにくいです。
美しい色あいの個体も多く、タフなのでトラディショナルに次いで飼い易い品種といえます。
ただし品種の特性上、胴体が短い品種でもあり、その為オスは交配がしにくく、繁殖が難しい品種なのでその点は注意が必要です。価格はベタの中でも比較的安い部類になります。
クラウンテール
各ヒレの部分が独自の形に変化した品種で、ヒレの部分が王冠のように見える事から「クラウンテール」と呼ばれ、またヒレの形や分かれ方によって、他にも数種類の名称があります。(中間的な個体もいますね。)
クラウンテールは主に2色の色あいの組み合わせが多く、画像のようなイエロー系のカラーはかなりレアといえます。
フレアリングさせることでより美しさが増す品種といえますし、ベタの中ではやや高価な品種になりますね。ヒレの個体差がかなり大きく、一般的にはヒレが長いほど見栄えの良い品種です。
コームテール
クラウンテールの亜種で、尾ヒレがクシ状に広がっている品種。海外ではメジャーな品種ながら、 日本ではクラウンテールと混同されて扱われているのが現状のようです。 コームテール自体はなかなか珍しい、流通量の少ない品種ですね。
キングテール
こちらもクラウンテールから派生した品種で、通常のクラウンテールと違い尾ヒレの先が広く Y型に分かれているもの。正直このキングテールも、クラウンテールとあまり分けずに扱われている場合もあります。 また黒いベタは希少価値が高いので高価ですね。
ハーフムーン
フレアリングすると尾ヒレが約180度に開く品種で、他のヒレも大きく、 数ある品種の中でも最も美しいのが「ハーフムーン」(半月)です。人気も高く、ベタの中では 最も高価な品種といえます。
美しい反面、尾ヒレは非常にデリケートで、主にストレスでヒレ裂けを起こしやすいのが難点です。 ホワイト系は特に避けやすく、大きく裂けると完全には元に戻りません。やや上級者向けの品種といえます。
なお尾ヒレが180度以上開く個体は非常にレアで、「オーバーハーフムーン」と呼ばれ、より高価です。
ハーフサン
これはハーフムーンとクラウンテールのベタを交配させて、 さらに背ビレの大きいダブルテールとも交配させて誕生した品種です。 それぞれの品種の特徴を併せ持つ姿はかなり美しいですが、 3種類のブレンド品種なので繁殖の際には良い個体の作出が難しく、 国内ではなかなかお目にかかれないですね。
フルムーン
ダブルテールの亜種で、より尾ヒレが大きく広がり、ハーフムーンの「半円」よりも より「円」に近いシルエットが楽しめる品種です。なかなか珍しい品種で、国内でも流通量は少なめですね。
「満月」を連想させる姿で、色あいや美しさにより値段に幅がありますが、フレアリングの美しさは圧巻ですね。 ハーフムーンよりもヒレが避け難い特徴もあります。
スーパーデルタテール
尾ヒレが三角形に広がった品種で、ハーフムーンの下位互換のような位置付けです。
ハーフムーンに近い美しさをもち、かつヒレが裂けにくくて飼い易いです。値段も比較的安く、 流通量も多いので見かけ易い品種でもあります。
三角形がデルタテール、三角がより広がったものをスーパーデルタと分けていましたが、 最近は統一化されつつありますね。
プラカット
最も原種に近い姿で、各ヒレは短めな品種。泳ぐ速度も最も早く、オス・メス共に姿が似ています。 日本では俗に「プラガット」とよばれ、気性は最も荒い品種だと感じます。
最近はプラガットでも尾ヒレが90度開く個体は「ハーフムーン・プラガット」とも呼ばれ、 バリエーションが広がっていますね。
国内ではやや人気は低く、比較的安めな価格で売られています。寿命の長い個体が多いですが、 水槽からの飛び出しでの死亡例も多い品種です。
ちなみに海外のタイでは、ベタ同士を闘わせる「ベタファイト」でこの品種が使用されます。 タイでは生産量の約80%がこのプラカットですね。
ジャイアント・プラカット
プラカットの突然変異で大型化した品種。体長8cm~10cmを超える大迫力のベタ。 画像のような多色のマルチカラー系は安価ですが、最近になってより美しい単色系が流通しだしました。 単色系は1万円以上の値段も付くので、色あいによって価格の幅が大きく変わります。
ジャイアント・プラカットは胴体の太さ、体型も独特な品種です。エサをやや多くあげて より大型化を目指す飼い方もできます。なお大柄なせいか、あまり泳ぎ回らないでジッとしている ことが多い品種です。
ハーフムーン・プラカット
比較的最近になって流通してきた品種で、プラカットでありながら尾ヒレはしっかり半円になっている 品種です。カラーバリエーションも豊富で、ヒレが小さい分裂け難いです。流通量は少ないですが 見応えがあり、人気が高いですね。
エレファント・イヤー(ダンボ)
胸ビレが非常に大型化した品種で、まるで像の耳のような姿から「エレファント・イヤー」と名前が付きました。 通常は透明な胸ビレに色が付いているのが特徴で、日本では「ダンボ」とも呼ばれています。
他の品種との掛け合わせも行われており、画像の個体は「エレファントイヤー・ハーフムーン」になります。
ローズテール
これはハーフムーンからさらに派生した品種で、尾ヒレがさらに大きく広がり、 花びらのようになっている品種。国内での流通量はまだまだ少なく、高価です。 「ハーフムーン・コンノック」とも呼ばれます。
最高峰の美しさですが、尾ヒレが非常にデリケートな個体なので、取り扱いは慎重に。
鯉ベタ
体色が赤、白、黒と分かれてまるで鯉のように見える品種。比較的新しく作出されたもので、正確には体色を示す名前です。他の品種のベタでもこの体色だと「コイカラー」と呼ばれます。
プラカット以外にも、ハーフムーンでもこういった色あいの個体が流通しており、人気の高い品種ですね。
色あいの美しさで値段が決まるので、この画像くらいの美しさ(最高の上物)だと8000円オーバーは確実な気がします。
海ベタ
極めて珍しい、淡水ではなく海水域で生息しているベタです。海水魚なので飼育は難しいですが、野生では群れをなして生息しています。小型で可愛らしいですが、ベタスプレンデンス・グループとは違うベタの近種と思われます。
ワイルドベタ
ワイルドベタは、改良品種のベタよりもはるかに種類が多く、現在見つかっている品種だけでも50種類以上います。
野生種のベタなので飼育は難しく、30cm水槽以上の大きめの水槽とエアレーションが不可欠になります。エサも冷凍赤虫がメインになるので、飼育のハードルはかなり高いですが、野生種ならではの美しさをもっているので、興味のある方は挑戦してみるのも良いかもしれません。
「ラウンドテール」「スペードテール」など、尾ヒレの形もかなり多種多様で、さらに通常のベタとは全く違う性質をもった品種もおり、専門店で購入の際には、店員さんにそのベタの特徴をしっかり聞いておきましょう。
また他の改良品種とは違い、野生環境の魚なのでベタ同士の闘争心はあまりなく、オスとメスを同じ水槽にペアで 飼育できる特徴があります。
ベタ・マクロストマ
ワイルドベタの一種。その中でも人気が高く非常に珍しい性質をもっており、ベタの中でも大型種で、なおかつ通常のベタと違って高水温に弱いです。基本的に水温25℃以下でないと生息が難しく、日本の夏場では水槽用クーラーが必要になる品種。
成魚は体長約11cm。別名「ブルネイ・ビューティー」。大きくて美しい反面、飼育の難しさはNo.1かもしれません。 それでも国内に愛好家は多いですね。
乱獲のせいか輸出を制限している国もでてきており、今後は入手が難しくなるかもしれない品種です。またワイルドベタの中では最も気性の荒い品種でもあります。
ルブラ
長年「幻のベタ」と呼ばれていた品種。100年近く昔に発見されてから、最近まで見つかっていなかった 「赤いワイルドベタ」です。稚魚の段階から赤い点があり、いまだにかなりレアですね。 ベタ・インベリス等の近縁種になるようで、飼育は難しそうですね。
パトティ
最大で体長約10cm程度にまで成長する大型ベタ。産地による個体差が大きく、基本的には 縞模様の個体が多いです。他のワイルドベタと同じような習性ですが、人に懐きやすく 好奇心旺盛です。繁殖は難しく、野生を採取したものが販売されていることがほとんどです。
ワイルドベタのテール
ワイルドベタには、特有の形をした尾ひれがあります。まず最初の画像は、通常の改良品種の尾ひれ。 トラディショナルベタのベールテール。
そしてワイルドベタ、野生種にのみ見られるスペードテール。スペード形はショーベタでは見られない 独自のものですね。
野生種でも見られ、ショーベタのプラカットにも見られる「ラウンドテール」。これから色々な形の 尾ひれに突然変異していったようですね。
ベタのカラー
ベタはヒレの形によって大きく分けられていますが、他にも「コイカラー」など、ベタの体色でも細かく分けられています。
バタフライ
エレファント・イヤーと同じ画像ですが、各ヒレのフチに白い色が付いていると「バタフライ」と呼ばれます。この個体の場合は「ブルーエレファントイヤー・ハーフムーンバタフライ」といったところでしょうか。
クリアフィン
各ヒレのフチが透明な個体は「クリアフィン」と呼ばれます。とても美しい反面、透明なヒレは最もデリケートです。 画像の個体は、ヒレに白色もあるので「クリアフィン・バタフライ」になります。
カッパー、ドラゴン
まるで金属のような光沢のヒレや鱗をもつ個体を「カッパー」、鱗全体が銀色に輝く個体は「ドラゴン」と呼ばれ、両方を併せ持つ「カッパードラゴン」なる色あいもあります。
金属質な光沢が非常に美しく、生で見ると圧巻です。人気が高いため価格もそれなりですね。「光沢のある白」は「プラチナホワイト」とよばれ、非常に高価です。
パイナップル
主に黄色で、ベタのウロコに黒い線が入っている品種。パイナップルを連想させる姿が美しく、 体色が濃くてウロコの線がしっかり出ているほど高価で、逆に薄いと値段も安いですね。 画像は「パイナップルイエロー・ハーフムーン」になります。
マーブル
明確な定義は難しいですが、「大理石調の体色」をもった、マーブル模様の体色をもった個体。かなりバリエーション豊富で、熱帯魚店でも良く見かけることができるカラーですね。なお3色以上の色がのっていると「ファンシーマーブル」とも呼ばれます。
ソリッド
「単色」という意味で、その名のとおり全身が1つの色のみの固体。ただ厳密には本当の単色はなかなかいません。
画像のような、無光沢で他の色の一切ない個体は最高ランクのソリッドになります。
バイカラー
体とヒレの色が2色に分かれた色あいを「バイカラー」と呼びます。かなりポピュラーなカラーリングで、これも熱帯魚店ではお馴染みのカラーといえそうですね。
マルチカラー
主に3色以上の色をもった個体は「マルチカラー」と呼びます。バリエーションは非常に豊富で、個体差が多く、同じカラーパターンのベタはなかなか見れません。
トリバンド
同じマルチカラーですが、ボディと尾ヒレがそれぞれ3色に分かれた個体は「トリバンド」と呼ばれます。なかなか珍しいカラーといえます。ベタ専門店でもないとなかなかお目にかかれないカラーでもありますね。
パステルカラー
淡いピンク色の体色、ヒレの色あいをもつ個体は「パステルカラー」と呼ばれます。正直、これにスポットで他の色が付くと「マーブル」になり、厳密な区別は難しいですね。
パステルをより透明にし、全体的にクリアフィンで多色のスポットが付いた「パステル・ピカソ」などレアなカラー個体もあります。
マスタードガス
体色がブルー、ヒレが黄色に分かれたものを「マスタードガス」といい、ベタならではの、他の淡水魚では見られないカラーリングが特徴です。特に海外で人気の高いカラーといえそうですね。
ラベンダー
淡いローズピンクの胴体とヒレを持つ品種。ヒレのみピンク色でも「ラベンダー」に分類されます。 個体のコンディションが良いと体色が濃く美しくなります。美しい色あいの個体は減ってきており、 国内の流通量も少ないですね。
サラマンダー
胴体が青く、ヒレが異なる色は「サラマンダー」と呼ばれます。ヒレはピンク系なので、画像の個体は 「サラマンダーラベンダー・バタフライ」になります。
カンボジアン
胴体が淡いピンクで、ヒレにのみ色が付いている品種。かなりポピュラーな遺伝子なのか、国内でも よく見かけ、簡単に入手できます。やや人気薄なので非常に安価に購入できます。
ダルメシアン
基本的には胴体に色が付いていない、または淡いピンクで、ヒレ部分に違う色の小さい斑点がある 品種で、カンボジアンのヒレが斑点状になっているもの。ただ胴体とヒレに同じ色の斑点があっても 「ダルメシアン」と分類されます。赤系統が多いですが、青系統もあります。
ピーバルド
ベタの頭部のみ色が付いていない品種。海外では「モンキーフェイス」とも呼ばれていますが 国内では人気があまりなく、マイナーな部類に入ります。
グリズル
ウロコ部分に斑点が多数ある品種。ヒレにも斑点があるとより高価になります。これも 国内では人気が薄いですが、「同じ色」がない独自性があります。
アルビノ
生まれつき色素をもたないので、目が赤く、体は薄いオレンジ色。ヒレは透明か薄い白。 極めてレアな個体ですが、カラーが命のベタの中では評価は高くないのが現状ですね。
ベタは色に関してはほぼ無限にありますので、かなり複雑ではありますが、貴方のお好みにあった品種があれば覚えておくと得かもしれませんね。 この魚だけは無数のカラーバリエーションがあります。ベタの世界は本当に奥が深いですね。
ベタのクチも種類があります
ベタはクチの位置にも個体差というか種類があり、クチの大きい子はベタの目の高さより少し上にクチが ある場合が多いです。
逆に、クチが目とほぼ同じ高さにあるベタもいます。クチはやや小さく、メスに多いですね。オスでこのタイプも いますが、エサの取り易さに優劣はありません。
ベタの目にも違いがある
ベタは目にも個体差があり、明確に違いがありますが正式名称はとくにありません。「こういう目の子も いますよ」という感じですね。お好みのタイプを見つけるのも良いかもしれません。
普通目
他の魚と同じように、白目と黒目が分かれているタイプ。ベタも眼球が動くのがわかります。 魚らしい目ですが、ベタには少ないタイプで、愛嬌のある感じがします。
黒目タイプ
大きい黒目のみに見えるタイプ。ベタはこのタイプが最も多い印象です。凛々しく、 最もオスのベタらしい目だと思います。
まぶた風タイプ
黒目のほかに、白目に他色が入ったタイプ。まぶたのように見えるのが特徴で、黒目の次に多いですね。 アップで見るとカッコ良い、キリッとした目です。
横線入りタイプ
目全体に横線が入ったタイプ。ベタのメスに多いですが、オスでも時々見かけます。メス的な印象を 受けますが、ベタ特有の目という感じもします。
ベタの体型
細身タイプ
ベタは体型も個体ごとに違います。細身の方が美しいと感じる方も多いのではないでしょうか。 トラディショナルベタやハーフムーンに多くみられるスマート体型。胴体も長いのが特徴です。
太目タイプ
ダブルテールやジャイアントプラカットに多い、胴体が太いタイプ。それに比例して身体も短い 個体も多く、これは好みが分かれる所です。
ショーベタは主にタイ・バンコクで養殖されており、非常に沢山のブリーダーによって、日々新しい品種が生み出されています。今後も新種のベタが出てくる可能性はありますので、これからが楽しみですね。